二つの価値体系の話をしよう. 二つは重なり合って存在しているが, その間の関係についてはわからない. 片方がもう片方に隠されていることは明らかであるので, 層化されている, という言葉遣いをする.
表にあるのは, 全てのものに価値がある, という考え方である. Aはそのものに価値がある. その存在がもたらす影響・その作用・もたらす反応, それらを全て無視する. AはAであり, そこに価値が存在する.
奥にあるのは, 何かを生み出すものに価値がある, という考え方である. AがBを生み出すとき, もしくはそれに貢献するとき, そのことに対してAは価値を持つ*1. AがBを生み出すと標榜されて価値を纏いながら, その実は真逆の因果が存在しているならば, 価値は真ではない.
二つの部分に属する価値の概念を混ぜ合わせて使ってみる. 後者の体系を受け入れない人は多く, またそれを受け入れていることを隠す必要が感じられることがある. このもとで, 前者は後者の隠れ蓑となる.
また, 後者のもとで誤った価値の認識を与えることを考える. 例えば, aによってxが生み出されたとしよう. aの価値のうちcredibleな部分は, xに対応するものだけである. ここでxに接続するものの集合Yを考える. この中でさらに, xを装うことができるようなものであるyを考える. yをaへ結びつけることで, 通常よりも過大または過小な価値を認識させることができる.
*1:時間軸については考えないこととする.