ぼそぼそ

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教師・親

備忘として. 僕の両親は教師をやっている.

 教師にとって大事な任務の一つに, 子供に規律を植え付けるというのがある. 規律は一貫性である: 自分が言ったことを守る. 自分が果たすことになっていることをこなす. 教師にとって, 自分の子供と生徒とはどちらも同じ「子供」である. 教師を親に持った子供に特有の問題はここから生まれる. 

 僕自身の身を振り返る. 自分は家では教師として振る舞わないように心がけていると, 母から昔聞いたことがある. きっかけは色々あっただろうし, もしかしたら昔からそういう考え方を持っていたのかもしれない. けれど, 一番のきっかけは, 僕が中学受験をしていたときに, 塾の校長からそういう趣旨のことを言われたことだという. 他人の話に耳を傾けることができる, これはとても彼女らしいと思う. 父はどうだろうか?割と教師らしく振る舞う時があったように思う. 父には人間観と信念があり, そこからズレる人間に対しては厳しくあたるように思った. そして自分の子供に対しても, 例外ではなかった. 僕はまだ幼く, おまけに彼が口下手だったものだから(生徒に対してもそうだったのかもしれないが, 僕に対しては一層そうであるように見えた), 嫌な思いをした. 僕が10代後半になってようやく, 二つの壁が崩れてきた: 僕は父と似たような信念を持つようになり, 同時に父は昔よりも上手く話すようになった. 

 最近, 彼らといる時にこういう昔話をよくするようになった. 話していると, 昔腑に落ちなかったこと, 「意味不明」だったことが, 不思議なほど自然に理解できるようになる. 僕も変わったし, 彼らも変わってきた. 

 教師というのは不思議な生き物で, 自分の時間の多くを子供たちと過ごすことがそうさせるのだと思う. 教師が子供に影響を与えるのと少なくとも同じくらいに, 彼らは子供たちから影響を受ける. 子供という得体の知れない生き物に触れることで, 彼らは否が応にでも変化を強いられる.  そして, 教師が自分の子供と接する時にもきっと同じことが起きている.