環境が変わって, 新しい場所が自分にとてもよく馴染むような気がする時がある. 元の場所では得られなかったものが得られる. 元の場所で疎ましく感じていたことから解放される. 新天地とはしばしば夢のような場所である.
夢からは必ず覚める. 同じように, 夢のような場所は, 必ず失われる. 元の場所に戻らなければならないかもしれない. 運良くその場所に居続けられたとしても, 自分が変わってしまったり, 場所自体が変わってしまったりする.
良い夢から覚めた時, どう思うだろうか?僕は夢をほとんど見ないのと, 記憶力が悪いのとで, これについて個人的な感想を何も述べることができない. けれど, 「あの夢をずっと見ていたかった」というようなことを言う人を時々見るので, 自分が見た夢への憧憬を抱くことは稀なことではないのだろうと思う.
夢から醒めてもなお, 夢のような場所を追い求める人が居る. ある人は, 夢のような場所をまた訪れようと願うかもしれない. 別の人は, その場所を違う場所に再現しようとするかもしれない. これらは楽しいのかもしれないのだが, 残念なことに自分には馴染まなさそうである. 自分はその場所についてすべてを知らず, また「その時, その場所」へ戻ることが出来ない. 追い求めてなお, 何かが欠けていることに気づいて, 悲しく思うだろう.
夢のような場所は, 混ぜ合わせて作る. 変わった自分を新しい土地に馴染ませるのではなく, 新しい土地を変わった自分に馴染ませる. そしてそれをひたすら繰り返す.